ドナー体験記
【ドナー登録の動機】
27 歳の誕生日を迎えるにあたって、自分が生きているときにやるべき事を 考えたのが始まりです。【ドナー登録の不安】
ドナー登録する以前から、TVなどで骨髄提供に当たって リスクを負うのを知ってました。「もしかして、高度な障害の 後遺症が残ったりするのではないか?」という不安もありました。 結局、死に直面している患者さんの苦しみに比べれば、 自分の抱えている悩みはた大したことはないと考えました。【移植可能の通知があって】
血液型(HLA)が適合する人がいる通知が来たときは、提供の意志が ハッキリ決まっていたので、「患者さんに喜んでもらえるな」と 思いました。【提供同意の面接】
自分、親、姉、担当医の先生、ドナーコーディネータの方、立ち会いの先生で 最終同意の面接を行ないました。ドナー・コーディネーターの方からは、最悪、致命的な事になる旨の説明を 受け、同時に、保険などの仕組みについての説明も受けました。
【家族の同意】
家族からは、はじめから賛成も反対もされてはいませんでした。家族への相談は、ドナー登録を行うときに初めて行いました。
二次検査を行う頃から、家族の理解を十分得るために自分の考えや 患者や患者家族の思いについて話しました。
姉からは、リスクがあるのを理解しているか問われましたが、 最終的に家族の同意を得ることができました。
【骨髄採取の入院前】
検査のための採血や面談、健康診断などで、自分の時間が割かれました。採血や健康診断が行える施設が近くにあったので、 まる1日、時間を取られたことはなかったです。
【骨髄採取の前日】
骨髄採取前日の10時に入院手続きを行いました。骨髄採取担当の先生、麻酔の先生などから、明日の骨髄採取についての 説明がありました。
【骨髄採取の当日】
朝9時に手術室に入り、麻酔が効いた所から記憶が全く無いです。骨髄採取は1時間位で終わったそうで、 麻酔から覚めたら自分の病室にいて、何人か人がいた事を覚えています。 眠たかったのでそのまま眠り、目が覚めたのは14時頃でした。
ベッドにあおむけに寝ていたのですが、腰に重い感じがありました。
体を左右にふると、腰にツッパリ/軽い痛みを感じました。
ツッパリ/軽い痛みを感じたときは無理に腰は動かしませんでした。
16時頃、ベッドから起き、自力でトイレに歩いて行きました。
ベッドで寝ている分には、腰に圧迫感があるくらいで痛みは有りませんでした。
腰の軽い痛みは骨髄採取1日目(当日)だけでした。それと、のどの痛みが 若干ありましたが、骨髄採取後2週間を境に痛みは治りました。
【骨髄採取の次の日】
腰にツッパリ感があるものの自由に歩く事ができました。この日は無理をせず、ベッドでずっと本を読んでいました。
【社会復帰するまで】
腰のツッパリ感は骨髄採取後6日目には無くなっていました。内場の場合、技術系の仕事なので、骨髄採取後4日目には社会復帰可能と 思いましたが、採取後6日目に会社に出ました。
腰は全く大丈夫でしたが、用心のため重い荷物の運搬など 腰に負担のあるような事は採取後2週間までは避けました。
採取した時の針の跡は、腰(ベルトの5センチ位下)に2箇所あります。
採取2ヶ月後に会社で旅行があったのですが、お風呂では誰も 気にしていませんでした。内場の骨髄採取の件を知っている友人も 「針の跡があるのは分かるけど全然目立たない」と言ってました。
【提供後の感想】
骨髄提供後、心地よい充実感があります。患者さんの事は全く知らないながらも、その人に希望を与えれたことは 内場の人生にとって大きな思い出です。もしもう一度、骨髄移植の チャンスがめぐって来たなら、喜んで提供したいと思います。
たまに「自分を必要としている人はいないのではないか?」 と考えたりすることがあります。しかし、今は 「自分を必要としてくれる人がいたし、今後もいるかも知れない!」と 直接実感しています。
はじめは、骨髄提供は患者さん/患者家族の方々の事を思っての決意でした。
今回の骨髄提供を振り返ると、半分は患者さんのためでしたが 実は、もう半分は自分のためであったのではないかと思います。
普段では考えない自分や家族のことを考えました。
会社でも、自分しかできない仕事や大切な仕事を優先するように なりました。多くの人が移植後に充実感があるそうですが、 骨髄移植は自分では気付かない、自分自身に対しての大きな成果が あるのではないでしょうか?
【最後に】
KPWさんの WWW を見なかったら、体験談なんて書こうと思いませんでした。機会を与えてもらったKPWさんに感謝しています。
受け入れ病院名は秘密で名前が出せないのが残念ですが、 受け入れの病院の担当の先生はじめ, 婦長さん, 看護婦さんの方々, ドナー・コーディネーターの長沼さん,徳部さん、博多祇園町の 献血ルームの方々には非常に親切にして頂きました。ありがとうございました。
受け入れ病院の方々や献血ルームの方々など、色々な人から 「ありがとうございます」との言葉を頂きました。
内場は、この「ありがとうございます」の言葉に、 患者や患者家族の方への暖かい思いやりの心を感じ、非常に感動しました。
これからも、この暖かい心の和に多くの人が加わって頂くことを信じ、 より多くの命が救われることをお祈ります。
投稿者のメールアドレスは、こちらになります。問い合わせや感想がございましたら、お寄せ下さい。 掲載されている文章・写真・図表などは、原作者の許諾を得て掲載しております。 無断での転載を禁じます。 |